雨乞
人々の涙のように雨は降る。和尚様どうか雨を降らせてください。遊は人知れず不動の滝にて石の杖を掲げ龍神を呼び出した。その人生に於いて三度だけ龍神を宿すことができ大雨を降らすことを願い民の為に滝に打たれた。中禅寺の和尚様による夜から朝にかけての経文は人々の胸を打ち翌日大雨が降り干ばつによる被害は最小限に抑えられたという。また農業ができるという喜びに浸ると同時に舞田米は信濃を誇る米として人々の食を潤していった。しかしながら汐田には神仏が多く祀られ興味が尽きずリーホという生き神にも敵うことがなかった。名残惜しいが遊は汐田を去ることにし旅人としての生涯を振り返り始めるのであった。